ハンドメイドルアーの作り方 / ミリングマシンを使って


ハンドメイドルアーと言われて、想像するものは人それぞれかも知れません。

木材から彫刻刀やサンドペーパーで削り出すルアー、型取りして発泡ウレタンを射出成形するルアー、そして、ミリングマシンで荒削りまでを行うルアー、色々ありますが、
ミサキのルアーはミリングマシンで作ってます。

ミリングマシンと言うからにはマシンです。オール手作業ではないことをハンドメイドルアーと言わないのであれば今回の記事は余計なことです。
今や3DプリンターにてASB(素材)でルアーのボディくらいならDIYできる時代です。しかしASBで作るにしても完成までの工程をマシンだけでは出来ません。
何を持ってハンドメイドと言うかと言うことになりますが、自分の思うハンドメイドはマシンでは出来ないこだわりや仕上がりが作れることをハンドメイドと言うのではないかと思ってます。唯一無二と言えば美しすぎますが、量産品とは別ラインの代物がハンドメイドではないでしょうか。比べるラインが違うので比べようがないのが事実です。

そんなことを思いながら今回はミサキのようにミリングマシンを使ってルアーを作りたい方に向けて書いてみます。

量産品ルアーとハンドメイドルアー

量産品 / 
すごく良いところ / 良いところがたくさんあります。まず誤差が少ないことが筆頭でしょう。
0.5gの違いが釣果を左右するルアー業界において誤差が少ないと言うのは必須です。
ちょっと微妙なところ / 同じタイプの同じ重さで同じ動きができるルアーが世に溢れてくると、同じ新しさを求め最高峰のルアーを設計します。その結果また同じタイプで同じ重さで同じ動きが大量発生します。釣果が上がる下がるの前に人が作るルアーが横並びになり面白さが少なくなる気がします。

ハンドメイドルアー /
すごく良いところ / オリジナルが詰まってます。それは人には「?」が点滅するかも知れない場合もありますが、魚には目に見て新しい動きをするルアーでしょう。釣果が上がるかどうかは分かりませんが「いつもの動き」では魚にも見切られます。
ちょっと微妙なところ / 重さに誤差がある。重さや動きに誤差があります。削り出した木材、塗料、ワイヤー、鉛の重さやセッティング、それらを全部測りながら統一してやったとしても完成した時点で誤差が出ます。ちなみにミサキのルアーの重さの表記は「だいたいこれくらいの重さ」と言う意味での表記です。

ミリングマシンを使う
ミリングマシンを使う理由の一つに形の統一、そして出来る限りの重さの誤差を減らす目的を持っています。木材から彫刻刀やサンドペーパーで削りだす場合でもサンドペーパーの一擦りで重さも形も変わります。型取りして発泡ウレタンでの射出成形でもその一押しの具合で形も重さも変わります。
ミリングマシンも絶対ではないのですが、同じ形を荒削りするところまでは同じ形で同じ重さをキープ出来ます。工程の一つだけでもそれらをクリアできるのは大きな成果です。

そしてミリングマシンを使う場合、木屑が飛び散ります。飛散防止のボックスか専用の作業部屋が必要かと思います。

NCデータ
ミリングマシンにはNCデータ(CNCデータ)を作らなければいけません。ミリングマシンを使う際にはPCとCAD/CAMソフトが必要です。 初期投資がかかるのも事実ですね。

ミリングマシンを選ぶときに気を付けたいこと
1)3軸であること。XYZ軸は横縦高さを表します。最大可動域を把握しましょう。5軸のミシンぐマシンもありますがハンドメイドルアーであれば3軸あれば充分です。

2)サイズと重さ / けっこう重要なことです。特にサイズは把握しましょう。

3)値段。言うまでもなく無い袖を振るうような無茶はやめましょう。

性能を挙げなかったのは実際に使って見ないとその納得は分かりません。気持ちの中に説明書と実践は違うことを理解できる余白部分を持つことが重要です。
そして、ミリングマシンは「CNCフライス盤」「自動彫刻」と言うワードになる場合もあります。ここではルアー製作のための機械自体を示すためにミリングマシンと書いています。

オススメ ミリングマシン
理解しなければいけないのは、機械を使ってDIYを試みると言うことは騒音と木屑などの飛散が着いてきます。近隣やご家庭内での迷惑にならないように相手への思いやりは絶対に必要です。

それを踏まえ、、、、

まずはDIYで使うには最高峰と言って過言ではないでしょう。
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良いところ/ 国内生産品なので問題点を日本語で問い合わせることができる。手動レバーが付いていることで例えばゼロ地点の操作が簡単。248×448×100と言う可動域のため一気に数匹のルアー荒削りが可能。
んんん、、、ちょっとなぁぁ、、、なところ/ 勇気が必要な値段です。

続きまして、安価で買えるものを、
DIY CNCルータキット、CNC2417

良いところ / 安い。値段の割にはそこそこ使える→これは荒削りだけを目的に買う場合はその目的を果たすことが予想されます。240×170×30の可動域は問題ないと思います。95mm程度のルアーが1匹から2匹、55mm程度のルアーであれば4匹くらいは一度の操作で製作可能。
んんん、、、ちょっとなぁぁ、、、なところ / 日本語説明書無し。海外製品のため故障などの問い合わせが難しい。基盤(本体左下)の部分が裸になっているので木屑対策が必要です。

続きまして、見た目にキレイなミリングマシン、
SainSmart Genmitsu CNCルーター・マシン3018-PROVer

良いところ/ ゼロポイントを確認できる→写真中央の円柱がゼロポイントを計測する機械です。ゼロポイントはそんなに面倒な作業ではないのですが、ゼロポイントが数字で分かるほうが良い方はオススメです。PCとは無関係に動かせるコントロール付きも魅力です。
300×180×45の可動域はルアーを作るのに充分な大きさです。
んんん、、、ちょっとなぁぁ、、、なところ / 無し。このスペックであれば機械不良が無ければ充分だと思います。基盤(本体背中)が半裸なので何かしらの木屑対策は必要ですが、それ以外は正常に動けばかなりオススメです。

最後にミサキの使っているミリングマシン、
DIY 2-in-1 CNCルーターキット+ 2500mWレーザー CNC3018

良いところ / 当たり外れがあるような記事もありますが、自分の購入したものは当たりでした。購入して約1年ですが今までノントラブルです。ちなみに中華製です。
んんん、、、ちょっとなぁぁ、、、なところ / 海外製品のため問い合わせが難しい。説明書が英語と中国語。図面を見ながら組み立てるしかない。

ちなみに最近発売されているかゆいところに手が届いたミリングマシンは、
DIY CNCルータキット CNC1610 + ER11

基盤がボックスになっていて、さらに冷却ファンのようなものが付いているのは嬉しい機能です。160×100×45と言う可動域はやや小さいように思いますが、1匹づつ削り出すなら充分でしょう。

まとめ
ミリングマシンはほぼ全部組み立て式です。組み立てが第一作業、PCとの接続が第二作業、動作確認が第三作業、そしてCAD/CAMソフトでNC(CNC)データ製作、テスト動作確認といくつもの段階があります。それらが正常に動いて初めて削りだしになるのですが、それに加えコレットの直径適合、ニードルの刃型の目的(ルアー削りだし)との適合、など初期段階でやることが多いのも事実です。
そして海外と日本でのDIYの認識の違いもあります。日本の場合は言うなら「完璧な道具を提供されることが当たり前」と言えますが、海外の認識では「治具製作や簡単な修理くらいできる人が購入するもの」と考え大きな違いがあります。そこも重要なポイントだと考えています。

しかし!
やってみれば経験になり、それがルアーであれば釣果になる喜びは無限大でしょう。
さらに大きな夢を挙げるのであれば、そのルアーを購入したい人まで現れるかも知れないのがDIYハンドメイドルアーを作る大きな可能性です。
「出来ない理由を聞くためにお前を呼んだんじゃねー!」と言う名セリフがありますが、全くその通りでしょう。出来るかも知れない!と思ったらそれはチャンスです。自分の作ったルアーが大海原を泳ぐことを想像すれば、ワクワクします、ドキドキします。

自分の「出来るかも知れない」を信じることをオススメします。