[ノベル] I can not doing / 俺には出来ないよ10/14「2人組の詐欺師?」

若竹が無職になり、しばらくは友達の車屋で洗車のバイトで食いつないでいた数日後、中金の嫁の良子から電話があった。

「文洋くん?私、良子」

「あ、どうも」

「しばらく音沙汰ないから心配して電話したのよ」

「、、、、、」

良子は中金と自分とのいざこざを知っているのか、パートナーである夫の中金吉夫がイカサマでポイントを稼いだことを知っているのか、裏のある奴はさらに裏がある場合が多いことを知っていた若竹はまるで複雑な推理小説を紐解くかのような気分になった。

「あ、いえ、まあ、元気は元気です」

「キっちゃんがね、文洋くんのことは私に任せたって言うから、勝手よねー。それできっちゃんはチコや六角くんの基盤作りをアドバイスするって言い出しちゃって。文洋くんはもう基盤が出来てるから、あとはリーダーステータスを継続して、文洋グループから6ラインのリーダーステータスを作って、それを私と一緒に頑張れればと思ってね」

「、、、、、、」

「あ、なんか、キっちゃんと口喧嘩みたいなのになったんでしょ。理由は知らないけど、キっちゃんって肝が小さいから根に持っちゃってさ、口喧嘩くらい、ドリームロードビジネスあるあるなのにね、、、、、もしかして文洋くんも根に持ってる?」

「いや、根に持つと言うか、怒ってもいないですけど、中金さんのやり方があんまり好きじゃないんですよ」

遠回りをして核心を突いてみたが良子の返しも核心を突くものだった。

「え!じゃあさ、ドリームロードビジネスを諦めたわけじゃ無いのね?、、、、だってさ、文洋くんがいなくなったら文洋グループのみんなも路頭に迷うし、私もちょっと寂しくなるし、チコもきっと寂しがると思うんだ」

あとで考えれば女のよく使う気を持たせる本能を抜群のセンスで言える女が良子だったのかも知れない。

「だからさ、今、1月でしょ、今期は3月くらいにリーダーステータスになって、私たちのアドバイスは終わりにして、リーダーステータスになった後は文洋くんがアドバイスを言う担当になった方が良いと思うんだ」

「え?」

「え?って何?リーダーステータスってそう言う立場になるってことよ。1年のうちで3回しか100万ポイントを達成できないリーダーステータスだとリーダーとは言えないけど、早い段階で達成して、そうね、年間で6回以上の100万ポイントを達成できるグループリーダーだと本当の意味でリーダーってことかな。分からないことだけ私たちがアドバイスするけど、基本的には文洋リーダーステータスが指揮をとるのよ」

「あ、そう言うものなんですね、、、、あ、でも、今月100万ポイントって言うのは、、、、」

「大丈夫よ、まだ15日もあるし、文洋くんのグループは自動的に50万ポイントクリアするから、あと50万ポイントをどうにか作れば良いだけじゃない?」

「あ、でも、、、、、」

言いかけて文洋が思い出した。ここはカマをかけて確かめようと閃いた。

「あ、でも、、、、もしも50万ポイントを稼げなくても50万円分の購入なんて俺は出来ないですよ」

「え?なにそれ?、、、、そんな馬鹿なことしなくていいし、そんなことする人がいたら止めて。意味ないじゃない?」

曇りの無い声で答えた良子だった。やはり太田チコが70万円分の購入をしたのは自発だったのかも知れない。

「とりあえず、大宰府さんのオフィスで会おうよ、夕方は空いてる?」

6時なら」

「じゃあ、6時にオフィスで」

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この物語は筆者が経験したことを基に描いたフィクションです。

I can not doing /俺にはできない 11/14へ続く