[ノベル]スパンキーサマー / 第4話 / 初めての引っ越し
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「そうだな、船も来るかも知れない」
「そうよ、これって、黒川物産にレジャーなんだから」
朝キャンプ場に戻った一行は少ない食料を食べながら一応の落ち着きを取り戻していた。
「3時までの我慢よ」
冬美が学と香織に強く言った。2人は大きくうなずいたが、夏樹だけが本島の方を見ていた。
「船がいない、、、、か、、、」
時間が3時を差そうとしていたがセスナの気配は無い。一行に嫌な雰囲気が漂うがどうしようもない。時間が5時になり日が傾いてきた。
「おい!どうなってるんだ!」
氷川が叫んだ。
「忠男!電話しろ!スマホ!」
「父さん、ここ、圏外だし」
「、、、、、なんだと!お前!」
「いや俺のせいじゃないし」
重い空気の中、木崎が提案をした。
「もし巨大地震だったとしたら本土も騒ぎになってこちらのことも後回しになるでしょう。今は待つしかないのですが、このままじっとしていても仕方がないので、今日はテントを高いところに移動させて、明日から救助がくるまでの計画を立てませんか?」
「、、、、、、」
氷川は不満そうだった。立原の家族はそれに応じテントをたたみ出した。
「私は動かんぞ!君たちは高いところに行けばいい。私はこのキャンプ場で救助を待つ」
氷川はキャンプ場に残ることを選んだ。忠男と夏樹はそれに従うしかない。妻の友恵もあの上り坂をまた登るのは嫌なようだ。
「お父さん、せめてキャンプ場のあの端にテントを移動しましょう」
一番見晴らしのいい海沿いの場所に家を建てていた氷川家の場所はこの緊急事態では最悪の場所だ。
「知らん!移動したけりゃお前がやれ!」
「、、、、、、、」
渋々夏樹は巨大なドーム型のテントをたたみ出した。
「お兄ちゃん、手伝って!」
忠男は聞こえていたが無視した。
「、、、、、、」
「、、、、、、」
見かねた立原と木崎は自分の子供に手伝うように言った。学と圭介は氷川家のテントを手伝うために上り坂の手前で引き返した。
「ありがとうね」
「いえ」
「、、、、、大丈夫っす」
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