[ノベル]スパンキーサマー/ 第6話 /立原家の三日目

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立原家の家族会議が行われた。結論は今いる場所は小川にも近いし大きな岩と言う目標もあるし、救助が来た時にキャンプ場まで数100m降れば行くことが出来る。キャンプ場と港から程なく近いと言う理由と万が一の津波にも対策になるのでここで救助を待つことにした。

「まず、水か、、、、、」

立原が頭を抱えているときに香織がすぐに答えをくれた。

「私、水、知ってるよ」

「水?知ってる?何それ?」

「やってあげるよ、パパ、来て」

夏樹にやってもらった同じことを香織は冬馬にやってみせた。

「おお!スゴイね!香織!スゴイよ!」

「うん。あとね、小川の水は、、、、、ろか?ろかしたら飲めるって夏樹お姉ちゃんが言ってた」

「ろか、、、濾過か、、、、」

立原は小川に顔を入れ生き物がいるかどうか確認した。稚魚らしき魚と名前は分からないが水性生物が何匹か見えた。

「と、言うことは、、、、生き物は大丈夫、、、で、、、人間が飲むなら、、、、あ!」

立原は昔テレビで見た原始的な濾過装置を思い出した。葉っぱを敷き詰めその上に小石を敷きさらにその上に小石を敷きその上に大きな石を置き更に小石を敷き雑草を根っこからキレイに置いて言った。ちょうどハイドロカルチャーで観葉植物を育てる雰囲気だ。そこにゆっくり小川の水を流し込む。周りに水が飛び散り上手く水が落ちない。

「うーん、、、、、」

周りに使えそうなものが無いか見渡す。見つけたのは倒木の中が繰り抜かれている腐木だ。

「これ腐っているか?、、、、ま、いっか、、、とりあえず」

繰り抜かれた木を小川でキレイに洗い着替えのTシャツで底を塞いだ。下から順番に砂利、小石、少し大きい小石、もう少し大きい小石、そして砂利を敷き雑草を根っこからキレイに植えた。

そこに小川の水をゆっくり流し込むと水が下まで来ない。ゆっくりではあるがドンドン小川の水を流し込む。10分くらい経つと木の下から茶色い水が1滴づつ落ちてきた。

「失敗かぁ、、、、いや、待てよ」

小川の流れの急勾配に水路のような道を作り滝のような流れを作った。滝の下に濾過装置を置いて明日を待つことにした。

世が明けると茶色い水は透明になっていた。一滴づつではなく少し弱い蛇口のような水流になていたのも予想外のラッキーだ。口を付けると。

「ん!美味い!いけるね!」

横では香織が葉っぱに付いた夜露を集めている。

「ああ、おいしい!」

時折香織が口をつけ喉を潤している。

「パパ、水はおいしいけどお腹空いたー!」

「お腹か、、、、」

「、、、、、、」

「学!まなぶー!」

「何?」

父の様子を見ていた学が木陰から立ち上がって出てきた。

「学、木の実とか根菜とか分からない?」

「んんん、、、、、木の実は基本的に食べても大丈夫なものの方が多いけど、根菜は、、、、」

「ちょっとその辺、食べれそうなの探して来てくれないか?」

「、、、、、うん」

学は渋々歩き出し林へ入って行った。辺りは藪に覆われて樹齢100年程度に松や杉が細々と立っていた。何もないと言えばそうだが雑草や木の実は食べれると聞いたことがあったので学は観察をやめなかった。藪が少なくなり杉らしき木が多くなったと思ったらひらけた場所に着いた。どうやらいくつかある小山の頂上の1つのようだ。反対側を見ると竹林になっている。

「竹か、、、、ん?」

背丈の低い竹の横を少し掘った。

「あ!」

竹の子が出てきた。円を描くように土を掘るとそれほど太くはないが竹の子が採れた。3本ほど採ると家に戻った。

「おお!竹の子!」

「あら!立派!」

「、、、、、でもさ、どうやって食べるの?」

「あ!」

「火かぁ、、、、、、」

その日は竹の子の根本を生のままで4人で食べた。生の竹の子は少し苦かったが若い部分はちょうどいい歯応えで美味しい。

「塩くらい欲しいね」

「だな」

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3家族を乗せた本格アドベンチャー/ 第7話へ続く

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