[ハンドメイドルアー]中級者向けサスペンドの参考浮力計算

さて第1話は、より詳しくなったハンドメイドルアーの初心者向け浮力計算 改を投稿しました。ぜひ参考にしてください。
より詳しくなった浮力計算はこちら→2022年版初心者向け浮力計算
それでは、、、、、、さあ、ややこしい話を始めましょう。

第2話はサスペンドの浮力計算です。
めちゃめちゃややこしいのでカロリーを補給して読んでください。

これは科学的根拠やその計算方法などを私ミサキが調べ計算表を作ったものになります。なので少々間違っている箇所もあるとは思いますが、サスペンドを狙う最もシンプルで最もショートカットな内容になると思われます。

計算できるのは出来るのですが、矛盾するかのように答えが1つではないのがサスペンドです。そして計算しても答えがいくつかあったりしますのでご覚悟はよろしいか?
覚悟が出来たら、森へ入ってみましょう。
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大前提
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まず大前提が必要です。
・そのルアーの形(長さ高さ幅)と使用する材木が決まっている
・レンジに関係なくそのルアーが1つ以上は出来上がっている
・そのルアーに仕込むウエイトの種類が統一されている
と言うことで、1つ以上そのルアーが出来上がっていなければいけません。そのルアーは計算されてフローティングだったりシンキングだったり、ある程度の結果が必要です。
そして今回の計算はサスペンドする重さの範囲を計算します。
そして、今回は「水圧」や「浮力」と言った内容の細かいことにはノータッチです。
「浮力ってそうじゃなくて、、、、」や「重力と水圧の関係は科学的には、、、」とか、長くなるので無しです。
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サスペンドとは?
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サスペンドとは水中で浮きもしない沈みもしないと言う状態を言います。
今回は水面からルアー底辺1mのサスペンドを例にしています。
狙うサスペンドの水深はルアーの底辺で計算します。
ここで大切なのは、
・地球の重力は水中でも同じ1Nなので触れません。
・水中にあるルアーは重力と浮力の力が加わっている。
・浮力=重力の関係が成り立てばサスペンドする
・その水の密度によりルアーの浮力と重力は変わる
・その水の密度は温度と潮汐など様々な要因で変化する
と言う5つの項目を予想計算しなければいけないので、ややこしい話です。
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項目目次
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ややこしい話なので念の為、目次です。
1)ルアーの浮力と重力計算
2)そのルアーへかかる水圧計算
3)そのルアーが水深1mに留まるための浮力と重力の計算
4)ルアーの浮力と重力の差と水圧の差の計算
5)サスペンドの数字幅を見つける計算
と言う5つがサスペンドの重さを求める流れになります。

そして今回、単位ですが、単位はcmやgなどの分かりやすい表記は示しますが、その他のNやkg/cm3などの深い考察はしません。数字だけを頼りにします。
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1)ルアーの浮力と重力計算
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今回の主人公はW/10cm/H/2cm/D/1cm/12gの仮想ルアーです。
このルアーが浮くのか?沈むのか?を計算します。
まずルアーを分解して考えます。ボディの浮力と重力、ウエイトの浮力と重力を計算します。
今回は体積が必要になるためワイヤーやスプリットリングは省きますが後ほど登場します。
この項目では「ルアー」「ボディ」「ウエイト」と1つのルアーで3つの名前が登場しそれぞれに「体積」「重さ」が登場するので気を付けて下さい。

浮力=重さ÷密度 / 密度=重さ÷体積
重力=質量1gに対し1N / 質量=体積÷密度

[ウエイトの浮力]
高度計算サイト球体で計算します。高度計算サイト球体の体積はこちら→Keisan!
6φで当てはめると、r =0.3、体積は0.113×2個=0.226cm3。
公式に当てはめると、
密度=4g÷0.226=17.669。浮力=4g÷17.699=0,226(A)。
[ウエイトの重力]
質量=0.226÷17.699=0.25。1gに対する重力1N:0.25=0.25(B)。
[ウエイトの浮力と重力]
浮力0.226 / 重力0.25

[ボディの浮力]
ボディの体積を出すのは無理なので高度計算サイト楕円形であたりを付けます。
高度計算サイト楕円体の体積はこちら→Keisan!
a=5、b=1、c=0.5、体積は10.471cm3(ルアーの体積)
10.471ー0.226(ウエイトの体積)=10.245cm3(ボディの体積)
公式に当てはめると、
密度=8g÷10.245=0.780. / 浮力=8g÷0.780=10.256(A#)。
[ボディの重力]
質量=10.245÷0.780=13.134 / 1gに対する重力1N:13.134=13.134N(B#)。
[ボディの浮力と重力]
浮力10.256 / 重力13.134

[ルアーの浮力と重力]
浮力(A)0.226+(A#)10.256=10.482(ルアーの浮力)
重力(B)0.25+(B#)13.134=13.384(ルアーの重力)
浮力:重力=浮力10.482<重力13.384(C) 
なのでこのルアーは沈む(浮かない)となります。
ここで浮力>重力になる場合は、この後の考え方を真逆に考えます。

[ルアーの浮力と重力の差]
浮力10.482と重力13.384の差は2.902(D)です。
ここでの(D)の数字は+ーはとりあえず関係ありません。(D)2.092と言う差が後程必要です。
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一旦まとめ
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この時点でそのルアーは浮力(A)<重力(B)の関係なので沈む(浮かない)ルアーです。
この後、必要な数字がCとDです。
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2)そのルアーへかかる水圧計算
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ここでは水圧を計算します。
物質(ルアー)をサスペンドさせる場合は物質(ルアー)の底辺で深度で計算します。
今回は水深1m(100cm)の水圧を計算します。

[1mの場所での水圧計算]
100(cm)×10.471(ルアーの体積)×12g=12,565(E)
100cm=1mの水深。10.471=ルアーの体積。12g=ルアーの重さ。
12,565(E)が水深1mで物質(ルアー)にかかる水圧。
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3)そのルアーが水深1mに留まるための浮力と重力の計算
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ここでは物質(ルアー)をサスペンドさせる水深1mでの浮力と重力を計算します。
水の密度が関係します。淡水と海水では平均密度が違います。
淡水の平均密度997kg/m3。海水の平均密度1030kg/m3。

今回は淡水を例に挙げて計算します。海水の場合は数字を変えるだけです。

12,565÷997(kg/m3)=12.6(F)
12,565=前述(E)  / 997=淡水の平均密度。
12.6(F)がそのルアーが水深1mに留まるために必要な浮力+重力です。
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一旦まとめ
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話が一旦、項目1)に戻りますがルアー単体での浮力重力は13.384(C)ほど重力が勝っています。項目3)の水深1mの浮力+重力を考えた時に12.6(F)(C)にも差もあることが分かります。
水(淡水)で1mに留まる浮力と重力:そのルアーが沈む重力=12.6(F)<13.384(C)と言った関係が成り立ちこれによりそのルアーは沈む(浮かない)のです。
☆項目1)で浮くルアーの場合は(F)の数字が小さいはずです。この後はFとCが必要です。
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4)ルアーの浮力と重力の差と水圧の差の計算
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ルアーの重力ー水深の浮力と重力=13.384(C)ー12.6(F)=0.784(G)の差が計算できます。
「水深の浮力と重力=そのルアーが沈む(今回の場合)重力」の関係が出来れば浮きも沈みもしません。
☆項目3)で浮くルアーの場合はここでの数字がマイナスになります。
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5)サスペンドの数字幅を見つける計算
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ここでようやくサスペンドする数字に当たりが付きます。
まず、ルアーそのものの浮力と重力の差は2.902(D)。
そして水圧に対するイコールにしたい数字の差が0.784(G)。
これがそのルアーをサスペンドさせる時に答え合わせになる数字の範囲です。

ルアーの体積を変えるのは難しいので一般的にはウエイトの重さを変えた方が良いでしょう。
この時点で項目1)のワイヤーやスプリットリングやフックの重さを足しましょう。(H)

0.784(G)の重さ〜2.902(D)+(H)の間にサスペンドする重さがあります。
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一旦まとめ
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0.784g(G)〜2.902g(D)+(H)幅が広いのは広いのですが、その差はわずか約2.118gです。
0.1gの重さで試すなら最大21回程度で答えが分かります。
0.2gなら最大11回程度で答えが出ます。
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サスペンドへのヒントの計算式
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数式にすると、、、、
A)ウエイトの浮力=重さ÷密度 / 密度=重さ÷体積
B)ウエイトの重力=質量=体積÷密度=1N:質力
A#)ボディの浮力=重さ÷密度 / 密度=重さ÷体積 / 体積=ルアーの体積ーウエイトの体積
B#)ボディの重力=質力=ボディの体積÷密度=1N:質量
C)ルアーの浮力(>/=/<)ルアーの重力=ルアーの浮力:ルアーの重力
D)ルアーの浮力の差値=ルアーの浮力ールアーの重力
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E)そのルアーにかかる水圧=水深cm×ルアーの体積×重さ
F)そのルアーがその水深に留まるための浮力と重力=E÷水の平均密度
G)そのルアーの浮力と重力の差値=CーF
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サスペンドする重さの数値幅=G〜D+H(ワイヤーやフックの重さ)
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となります。ややこしいですね〜!
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まとめ
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今回はややこしい話でしたが、ハンドメイドルアーを作る際のサスペンドを狙う時に参考にしてください。

20gでもフローティングするルアーもあれば5gでもシンキングするルアーもあるので、大前提で書いたように1つ以上のそのルアーが完成した状態(出来たらフローティング)で計算し直したりシンカーで調整したりの方が答えは早いでしょう。
しかしサスペンドは水温や潮汐、またはハンドメイドルアーのボンドの量、塗料の重さ、などなどわずか0.1gでもその狙いは外れるので気持ちを穏やかに考え方を広く持って作ることが一番大切です。個人的な意見ですが、シンキング寄りのサスペンドか、フローティング寄りのサスペンドか、それも1つの考察に入れた方が答えが早い気がします。

今回はサスペンドの参考計算第一弾として投稿しました。
私ミサキもさらに深く考察してサスペンドの計算をもっと分かりやすく書けるようにチャレンジしますのでその時はまた読んでやってください。