[ノベル]スパンキーサマー/第14話/条件の正立
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翌日、木崎と立原は氷川王国に返事をしに山を降りた。
「返事は?」
忠男が後座に2人を招いて座った。
「まずこれ、、、」
木崎はペットボトルの底に少し溜まった塩を出した。立原はペットボトル1本を出した。
「これは、、、、条件と違いますが、、、、」
「条件は飲まない」
「え?」
「条件は飲まない」
「え?火ですよ?火いらないの?」
「昨日もらった火は返しません。そしてこれはお裾分けです」
「お裾分け分け?」
「ええ。そちらに協力する姿勢が無いならお裾分けも今日で最後です。火がもし雨で消えたら氷川さんちの火を力付くで奪いに来ます」
「え?」
「水は木崎さんとはお裾分けし続けます」
「え?」
「火はそのうち種火を点ける方法を見つけ出すでしょう。そうなったら忠男くんの火はもう必要ないです。むしろガスバーナーでしか火を点けれないならこちらの火が必要になる時が絶対にくる」
「ちょっと、、、、それって」
「あと、この島で境界線を決めました」
「境界線?」
「ええ。見るところ氷川さんのお宅で食糧を調達出来るのは夏樹ちゃんだけで、うちも木崎さんの家の周りは猪もいますし鳥もいます。水は私の家のすぐ近くで濾過出来ますし、塩は木崎さんのお宅からもらえます。夏樹ちゃん1人では猪も無理ですし塩を持ちながら水を家族分運ぶのはキツいでしょう」
「え?」
「もし食糧にお困りであれば、境界線の外で獲れた食糧はこちらの資源なので獲れた食糧に対し火を頂きます」
「境界線?」
「と言うか、、、忠男くんの領土では火しか無いんですよ。火と夏樹ちゃんが採ってくるわずかな貝や蟹しかないんです」
「領土?、、、それは、、、、」
「と言うのが木崎さんと私の答えです」
「勝った!」と木崎も立原もそう思った。忠男は交渉のままごとしか出来ないことを思い知った。
そこに氷川がテントから出てきた。
「良いじゃないか」
「え?」
「立原木崎共和国の条件、、、、国境で良いじゃないか。どうせうちは食糧部は夏樹だけだ。お裾分けをもらった方が良い」
2人は大人の答えを言う氷川にホッとした。
「しかし、、、、しかしねぇ、、国境の外で獲れた食糧はお裾分けか火で返すが、そちらの国境の資源がこちらに迷惑をかけた時はどう責任をとってくれるのか?」
「え?」
「え?」
「ですから、うちの国境、うちの国境の中には猪はいない、わずかな鳥はいますが、猪はあなた達の管理下の資源と言うことです。その管理下の猪が私たちの国境の中で何かの被害があった時は」
「え?」
「え?」
「もちろん損害の責任を取って頂けると言うことで間違いないですね。そう言えばこの前、猪が私たちの食べ残しのゴミをあさってましたね」
「え?」
「え?」
形成逆転だ。一言でマウントを取り直す氷川グループラスボス氷川尚吾だ。
「他にも例えば水はここには無い。立原村の水で体調を崩した時。その時はどう責任を?」
「いや、、、、」
「それは、、、、」
「では、これでどうでしょうか?」
氷川が4つ財布を出した。1つは氷川の財布だろう。残りは忠男と夏樹と友恵のだろう。
「貴方方の財布は今持ってますか?」
「はぁ、、、」
2人は訳が分からないまま財布を出した。
「私のとこには、えーっと、、、」
氷川が4つの財布から札と小銭を出した。
「えーっと、、、6万5千321円。貴方は、、、、」
「1万2千98円です」
「2万、、、、2万7千215円」
「では、何か問題があった時、責任の代償は今持ってるお金で支払うと言うのはどうでしょうか?」
「、、、、、あの、、、」
「ええ、、、その意味は?」
「意味?例えば猪が私の領土を荒らした時に塩や蟹でもありがたいが、多くもらうとそちらにも迷惑がかかる。そちらの領土にある例えば猪が私のこの草原を荒らしたらもちろん殺して食料にします。猪の肉の半分は木崎さんにお渡ししますよ。でも草原を荒らされた代償は猪や塩だけでは割りに合わない。そこで、現金で責任を負えばお互いに食糧もそのままでお互いの関係も現状維持ができます。まぁ、ゲームみたいなものです。合わせてもせいぜい10万円程度ですから。草原だって私のものじゃないが、そちらが境界線を望むなら仕方がないと思いますよ」
「はぁ、、、」
「では、今まで通りお裾分けのルールで、何か問題があった時、その原因が他国からの脅威の時は現金で、、、よろしいかな?」
渋々そのルールを受け入れることになった。考えてみれば境界線を言い出したのはこちらだし現金はおまけで今必要なのは救助が来るまでの食糧だ。それが最優先されればそれで良い。
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