[ノベル]スパンキーサマー /第13話/平和条約前の会議

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木崎と立原の家族で会議が開かれた。

「参ったよ、、、、」

「で、そうするの?」

「どうって、、、、木崎さん、何かありますか?」

「、、、、、、」

その姿に雄太が口を開いた。

「あの、、、、忠男さんはたぶんこの島で日本の、、、、資本主義みたいなことをしようとしてると思うんです」

「、、、、、、」

「その、、、何というか、こちらの条件も言うべきではないかと?」

「条件?」

「例えば、氷川さんのキャンプ場は貝しか取れませんがうちは蟹も獲れます。蟹と貝を交換する条件で火をもらうとか」

「ああああ、なるほど」

「ただ、貝が獲れると夏樹ちゃんが針と糸を持っているから魚が獲れるんだ。魚と蟹だと、、、、」

「あの、、、、、」

木崎の次男の圭介が手を上げた。

「圭介くん、何か?」

「あの、、、忠男さんは良い兄貴って思うんですけど、あの感じだと縄張り意識と言うかキャンプ場全体を自分の縄張りと思うと思うんです。と言うことは、その逆にこちらも縄張りを決めて向こうが入れないようにした方が良いかと、、、、」

「なるほど」

「学は何かあるか?」

「いや、、、、水と火だとどっちが大切なの?」

「生きるだけなら水だけど、、、生きるだけじゃないからね、、、」

「でも、島は生きるだけで良いんじゃない?」

「それはそうだけど、貝も蟹も山菜も食べたいでしょ」

「まぁね、、、、猪も食べたいし」

「、、、、、ねえ、、、」

冬美が冬馬の横で聞いた。

「ねぇ、、、喧嘩みたいにならないわよね?」

「喧嘩?」

「だって、売り言葉に買い言葉って男はそんなのにすぐ反応するでしょ」

「、、、、、」

「、、、、、」

「でも、それもありかも知れませんよ」

圭介が意見を言った。

「向こうが喧嘩売ってるなら買うって言うのも解決の1つかも。氷川グループって言ってもここでは無意味ですから、その喧嘩買った!ってなったら今まで通り仲良くなれるかも知れません」

「えーーーー?夏樹お姉ちゃんと喧嘩嫌だー!」

香織が首を横に振った。

会議は2時間程度続いたが決定的な結論は出なかった。好戦か和平かと無理やり分けるとすれば氷川王国は好戦国家、木崎村と立原村は和平目的の共和国と言った感じだろう。

しかしただ相手の言いなりになるわけにもいかない。ボクシングで言うならジャブ程度の攻撃体制は必要だ。

「では、とりあえず圭介くんの言った縄張り作戦で行きましょう」

こちらの「やるならやってやるよ」と言う姿勢は見せなければいけない。実際は争う気は微塵も無いのだが喧嘩と仲良しの良い具合のところで手を打つなら「やる気」を見せるのも手だ。

氷川王国はキャンプ場一帯、立原村は登山道下のバツ印から山の頂上までと島の真ん中まで、木崎村は猪の発見もあってか南側の丘から入江までの全域に線を引いた。面積では氷川王国が一番小さいが3国の中で最も強い国だ。木崎立原共和国は国境の行き来は自由だがそこでの食糧調達が出来た場合、必ずお裾分けをすることで一致した。

資源(食糧)の乏しい氷川王国だが火と言う最も強い切り札がある。それをなんとか平和的に共有したい。

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3家族を乗せた本格アドベンチャー / 第14話へ続く

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