[ノベル]スパンキーサマー/第17話/開戦前夜
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「だったら支流を引き直せば良いでしょ!」
冬美が簡単に言うが水源はともかく人工的な支流は氷川王国の領土内だ。水源を今の段階でこちらの領土と言うのは無理がある。氷川王国の支流を破壊することも出来るがそれをやったら氷川も黙っていないだろう。
「一回でも頂上を散策してればこんなことには、、、、」
後悔が後を立たない。今さら木崎のところへ行ってもその話でイザコザが起こるだろうし、向こうも話し難いだろう。
しかし水は立原村にとって唯一の武器とも言える。そして木崎も氷川王国の植民地になっている可能性もある。
「どうしよう、、、、」
「どうしようって?」
「木崎さんが塩を氷川に無条件で渡すことになっていたらこっちに塩は来ないかも、、、、」
「ええええ?じゃあ、どうするのよ?」
「それを考えているんだ!」
香織だけがなんの話をしているか分からなかったが両親の苦悩だけを感じとっていた。
「私、夏樹お姉ちゃんに許して!って言ってくる!」
「え?」
「だって、夏樹お姉ちゃん、良い人だもん!」
「、、、、、、」
「パパ、こう言うのはどう?」
学が口を開いた。
「木崎さんに会って氷川王国をぶっ潰す相談をするんだ」
「ぶっ潰す?」
「ダメよ!喧嘩なんて!」
冬美は慌てて止めた。
「いや、本当にぶっ潰すんじゃなくて、そう言う計画をしていると向こうに言えば少しは良くなるんじゃないかな?」
「、、、、、、」
「木崎さんには本気でぶっ潰す相談ってことにして、最後はお互いに協力し合うってことにして。敵を騙すならまず味方からみたいな」
「、、、、、」
「だから、、、、ここままだと植民地になるんでしょ!考えてみてよ。うちに男はパパと僕。木崎さんとこは元自衛隊の木崎さんと長男の雄太さんと次男の圭介さん。圭介さんはイケイケの感じだし。で、氷川王国は忠男さんとじいさんの氷川さんでしょ。もし本当に喧嘩になったら、、、、、を考えたら絶対にこっちが有利だよ」
学の言うことにも一理あった。上手く乗せられた現金のルールにこんな落とし穴があったとはあの時に身抜けなかったのは氷川グループラスボスの実力と言えるかも知れない。
「そうだな、、、、時にはそう言うのも必要だな、、、」
「そうだよ」
「明日、木崎さんのとこに行こう」
「うん!」