毎週月曜日はバイクのお話。
今回は噂が噂を呼んでいる原動機付自転車の廃止に付いて書いてみます。
この噂される「原付廃止」は、メチャクチャややこしいお話なので1つ1つ解析していきます。[時間軸] [商売] [制度] [政治と組合]の4章に分けて書いています。長くなりますがお付き合いを。
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[時間軸]噂の発端
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噂の発端はユーロ5です。
ユーロ5とは欧州排ガス規制の総称でヨーロッパを拠点に定めた排ガス規制です。ユーロ5が今の世界基準の排ガス規制と言っても過言ではありません。
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[時間軸]日本独自の排ガス規制
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実は日本はユーロ5には属さず日本独自の令和2年排ガス規制と言われる条例に準じています。しかし令和2年排ガス規制はユーロ5を指標にしています。
ややこしい匂いがしてきましたね。
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[時間軸]猶予と期限
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ユーロ5にも猶予と期限があり、日本の排ガス規制にも猶予と期限があります。
ユーロ5と令和2年排ガス規制は2020年にスタートしました。
ユーロ5は2022年までに適応した製品を求めています。
令和2年排ガス規制は2025年までに適応した製品を求めています。
そしてユーロ6(新し排ガス規制)が発表されるのが多くの予想では2026年です。このため令和2年排ガス規制も2026年に見直され発表されることが簡単に予想できるのです。
結果的に2026年に新しい製品が求められ現行の製品ではNGを食らうことが目に見えているのです。ここで問題として上がったのが現在の50cc未満のバイクです。
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[時間軸][まとめ]ややこしいので一度まとめます。
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・日本の排ガス規制は独自のものだけどユーロ5を指標にしている
・令和2年排ガス規制猶予期間終了の直後にユーロ6が発表される可能性大
・タイミング的にユーロ6を視野にいれるべき思惑
時間軸のお話の次は商売のお話です。
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[商売]販売先
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ここでもう1つ商売と言うややこしい話が加わります。これは排ガス規制に関係しないのですが実は、、、、、
・原付(50cc未満)は日本オンリーの乗り物と言っても過言ではない
・日本以外での小型バイクは125cc以上が主流。
・輸出するバイクはユーロ5も令和2年排ガス規制もクリアしなければいけない
この3点が[商売]の章の基軸になります。
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[商売]バイクメーカー
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もはや世界をマーケットにしているバイクメーカーの立場から見ると、、、、
・小型バイクの太客は東南アジアやヨーロッパ諸国
・日本のユーザーのためだけに50ccのバイクを作る意味があるのか無いのか?
商売として考えれば当たり前の思いと言えば当たり前の思いでしょう。
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[商売] [まとめ] 一度まとめます
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・日本以外で需要の無い50cc未満のバイク
・日本の排ガス規制に合わせる意味の模索
と言ったことが言えるでしょう。メーカーの立場からすると頭を悩ませることだと思います。
商売の話から制度の話に変わります。
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[制度]原付とは
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原付そのものは言うまでもなく50cc未満のバイク(二輪)です。
では何故、50cc未満のバイクを原動機付自転車としたのでしょうか?
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[制度]原付の始まり
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1960年に改正された今の免許区分から原付が始まります。
原付免許制定には様々な説が言われていますが、郵便局配達員のための制定が有力です。
これらは都会(街中)に暮らすとピンと来ませんが、田舎町には都会では信じられない道がたくさんありますので実際にも郵便局配達員が配達困難な場所に容易に侵入出来るのは便利なことだと言えます。
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[制度][まとめ]一度まとめます
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制度としてのまとめは、原付と言うカテゴリーがあると言う事実です。
しかし、ここでの問題は免許と言うだけではなく税法、道路交通法、道路運送車両法と言う3つの改正が必要な可能性もあるのです。
ややこしいでしょ、図にするとこんな感じ↓
今のところ排気量で分類化されていますが、免許制度には国税庁、国交省、警視庁の3つの省庁が管轄しています。その全てを取り仕切っているのが日本政府です。
この図をなんとなく覚えておいてください。後々理解が深まります。
制度の話から[政治と組合]の話に移ります。
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[政治と組合]AJの見解
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AJとは、全国オートバイ協同組合連合会。簡単に言うと全国のバイク屋さんが1つにまとめた組織。そのAJの排ガス規制への対応見解は、
・現行50ccモデルを令和2年排ガス規制に適合させる
・設計最高速を50km/hに制限し排ガス規制をしない
・125ccクラスの最高出力を4kw(5.4ps)に制限する
とAJとJAMA(日本自動車工業会)との連名で自民党オートバイ議員連盟に3つの草案としました。
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[政治と組合]濃い方向性
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自民党オートバイ議員連盟の正式回答はまだ無いようですが、話の方向性としては125ccクラスの最高出力を4kw(5.4ps)に制限する方向が濃いようです。
「私は飛ばさないから大丈夫」「私は10分の道のりだから影響なし!」と、たかがそれだけの話では無いのです。これは軽自動車税と道路交通法に影響する可能性があります。
簡単に言うと、、、
[軽自動車税]
・現在の原付の軽自動車税2000円→125ccと言う原付の軽自動車税2400円にアップの可能性
・現在の125ccの軽自動車税2400円→125ccと言う原付の軽自動車税2000円にダウンの可能性
[道路交通法]
・125ccと言う原付の法定速度30km/hに変更の可能性
・125ccと言う原付は現在の通りの道交法に準ずる可能性
・125ccと言う原付の二段階右折の可能性
と、いくつかの可能性が出てきます。ちょっと青ざめてきたでしょ。
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[政治と組合][まとめ]ややこしいので一度まとめます
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政治と組合をまとめると、、、、こんな感じ↓
排ガス規制に対し簡単に書いただけでこれだけのことが絡んでくるのです。
原付枠なんて無くせばいい!と思う方もいるでしょうが、過去の自民党(政治家)が制定した法案は理屈ではなく政治の性格として簡単に廃案にはしないのです。それも話をややこしくしている部分と言えます。実際問題、原付の意味するところは前述に書いたことが目的なのですから廃案はあり得ないでしょう。
そして、全国の原付(50cc)ユーザーは484万人。国税庁(または行政)は484万人のアップした軽自動車税を、、、、国交省は484万人の自賠責、、、、、、欲しいに決まってますよね。
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全体のまとめ
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色々調べた一片を書いたのですが私個人のまとめとしては、、、
・原付と言う法的な枠は無くならない
・新しい原付枠に当てはまるバイクが125ccになる
・50cc未満のバイクは無くなる
・125ccの法定速度は30km/hになるが二段階右折は不要
・軽自動車税はアップする
・50cc未満のユーザーはバイクを辞める
・125ccのユーザーはバイクを辞める
・それに伴いバイク人口は減る
・結果的に排ガス規制の目標は達成される
排ガス規制と言うのは絶対に必要な制度です。排ガス規制が無いとじゃんじゃん排ガスを撒き散らかす人も増え続けていきます。
必要な制度ではありますが、しかし本当にややこしい世界ですね。