[塗料の話] 蛍光塗料と夜光塗料
夜に潜めく光を求めることが多くあるのが現代社会です。
街の様子は条例で規制がありますが、DIYとなると個人の責任が必要です。
蛍光塗料と夜光塗料、製品の表記の違いを簡単ではありますが紐解きます。
蛍光塗料
これは至って簡単な仕組みです。
光があれば反射する仕組みです。夜にガードレールが光るのがその代表例ですね。
光のないところでは光らない。これが蛍光塗料の性質です。
ルシフェリンと言う物質で反射させます。ホタルの自然化学反応をもたらす仕組みを改良した感じです。ただホタルは自然物なので人間の目には夜光っているように見えますが昼間でも光っているのです。その見た目も大きく影響し夜(または暗闇)に光るものとして多く用いられています。
ルシフィンのように光を反射させる物質を蛍光体と言います。蛍光体を材料にした塗料やテープを総称して蛍光といいます。
夜光塗料
これは文字起こしするととても複雑です。
大まかに言うと完全科学物質です。
まず夜光塗料とは総称で光る塗料をそう言います。なので蛍光塗料もその中に入るのですが成分比較の違いで夜光塗料と蛍光塗料に分けられたのです。
では、分けられた後の夜光塗料の成分は?と言うと
主にラジウムが多く含まれる物質(塗料の細分分子)を夜光塗料と言います。
ラジウムと言う物質は放射性物質を多く含むため現在の条例により製造禁止とされました。昔の時計の文字盤が光るのはこのラジウムの活躍でした。実際に時計塗装作業者がガンの誘発が多かったのです。戦闘機のインパネに使ったのが始まりとされています。ここでも軍需産業の恩恵を受けていたかと思うと何故か悲しい気持ちです。
このラジウムを使った発光材料は1990年代に製造中止となりました。
そこで登場したのが蓄光塗料です。
蓄光塗料
蓄光と夜光は似て非なるものといった感じです。新しい蓄光材の登場でより安全に使えるようになりました。
蓄光はアルミン酸ストロンチウム蛍光体と言う成分で出来ていて、化学物質ではありますがホタルやクラゲ、ホタルイカなどの自然発光に最も近づいた成分とされています。
ただ違いはホタルは発光、アルミン酸ストロンチウム蛍光体は吸収して発光と言う違いがあります。
化学物質ではありますが今のところ人類が扱える夜に発光する最も安全な成分のようです。
蓄光塗料は夜光塗料に属しますが成分が違います。
蓄光塗料は文字通り光を蓄えます。昼間またはライトの光など吸収できる状態が無い場合は光りません。
紫外線(光)を受け励起(れいき)状態になり元の基底状態に戻ろうとする性質を利用したのが蓄光塗料です。
励起状態とは / 光を吸収している状態。
基底状態とは / 蓄光材料に光が吸収されていない状態。元々の状態。
蓄光塗料の時間は一般的に2時間から8時間となっています。それは蓄えた光の量と成分量によって異なります。最大8時間以上は光を蓄えられないのが今の蓄光塗料のようです。
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主流
ハンドメイドルアー制作でナイトを望むなら主流は蓄光塗料でしょう。
一般家庭で、例えば夜にトイレに行くことがあるのであれば蓄光テープなどを貼るのが主流だと思います。
ラジウムを多く含む夜光塗料、夜光テープは日本では製造禁止にされていますが、昨今は輸入品も多いので、その国々によって規制が違うことでしょう。日本メーカーであっても逆輸入品となると話が少し違ってきます。
夜光塗料、夜光テープ、蓄光塗料、蓄光テープを購入する際は販売員または店のスタッフに確認して判断することをお勧めします。
発がん性物質と噂されるラジウムを買うのは避けたほうが良いかと思います。
夜に光る何かを選ぶなら
単純な話になりますが夜に光る何かは自然界ではかなり限られています。
放射性物質を発見した人類は自然界以外からの光を手に入れました。
しかしその代償は個人に降りかかります。
なので、なるべく成分表記を確認することが大切です。
名前だけでの判断だと夜光る塗料は、夜光塗料、蓄光塗料、蛍光塗料の3種類があります。
夜光と書かれた塗料を選ぶのは論外です。
似て非なる蓄光塗料も成分を確認してから買いましょう。特に子供がいる家庭は確認して買うことをお勧めします。
蛍光塗料は使用方法以外の使い方をしなければほぼ無害です。
一番大切なのは夜に光を放つと言う無理を実践しようとしてることを認識することが一番大切だと思います。