[ノベル]スパンキーサマー/第15話/代償
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しかし事件はすぐに起きてしまった。忠男が立原の家に怒鳴り込んでいた。
「あんたねー!あんたのとこの水、あれ飲んだから夏樹が体調崩しただろー!ちゃんと濾過器の掃除、やってんの?飲み水って言うんだから清潔だよね?水飲んで体調を崩すなんてあり得ないよ」
考えてみれば素人が作った濾過装置でこの状況で掃除などの清潔感を保つことまで気が回らなかった。しかし忠男の言うことが言いがかりかも知れない。夏樹が体調を崩したのが水のせいだとは確定できない、、、、が、そうでないとも確定できないのだ。
「はぁ、、、すみません」
「まったく、、、この責任は取ってこもらいますからね!」
責任のペットボトルに水3本と示談金は5千円だった。
「ほんと、木崎村と言い、立原村と言い、ちゃんとやってください!」
「木崎さんのとこも?」
「ええ!猪がテントの周りを荒らすは、もらった塩がいつもより灰色だったり、、、、まったく!」
木崎への示談金は1万円と言うことだ。
これだけで済めば良かったがクレームは立て続けにきた。そのおかげで木崎村にも立原村にも現金が無くなった。
そして最後のクレームが来た時に氷川に思惑が読めた。
「え?現金が無い?じゃあ、どうするんですか?」
「水で勘弁、、、水と山菜で勘弁してもらえないでしょうか?」
「水と山菜?」
「はい」
「、、、、、それは話が違うと言うか、、、、」
「しかしうちにはもうお金が無いんで、、、」
「じゃあ、氷川王国から借金するか、、、、それか、領土を下さい」
「借金?領土?」
「はい。借金の場合は1000円に付き金利5万円で本土に帰った時に請求します」
「金利、、、取るんですか?」
「当たり前でしょ。本土に帰った時に現金で返してもらいますよ」
「でも1000円に付き5万円は、、、、、、」
「じゃあ、領土をください。氷川王国は海沿いだけしか無いんで山の幸に乏しいんです。ちょうど木崎村と立原村の真ん中、、、、そうですね、真ん中を5mくらいで頂上まで下さい」
「え?」
断る理由もなかった。元々タダで住んでいる場所で勝手に決めた境界線だ。実際の現金を回収されるよりマシだ。
「良いですよ、、、でも木崎さんにも断りを」
「大丈夫です。あちらはもう了承済みですから」
「あ、、、はい」
「それと木崎さんちに行くなら山の向こうから回って下さい。真ん中の5mの道は氷川グループのものとしますので」
「はぁ、、、、」
山の向こうはかなり遠回りだが仕方がない。どちらかと言うと氷川王国に行く道があれば島の中枢部へ行ける。中枢部と言ってもこの島ではキャンプ場と港だけだがそれでもランドマークであるのには間違いない。
「じゃあ、今日からそうなりますので」
「はい」
これでクレームは終わるような気がした。嫌な予感しかなかったがルールに従えなかったのだから仕方がないと言えば仕方がない、ある意味ではダメージを最小限に抑えた平和的解決と言える。
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